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古き良き時代の録音事情


タンゴは いろいろな楽しみ方があります。聴いて良し、踊って良し、見て良し、演奏するも また良し。
バイオリン教室にも タンゴを弾きたいという生徒さんが 入門し、憧れの曲を 自分で演奏するお手伝いが出来て 私もとても嬉しいです。

ところで、タンゴを踊る時の音楽は、現在 ほとんどの場合 タンゴ全盛期の録音を使っています。
大きなタンゴショーでは オルケスタが入ることも多いですが、それでさえ ダンサーが踊る曲は CDで、という場合があります。
前にも書きましたが、生演奏のタンゴは ダンサーにとって 踊りやすいとは限らないのです。
ダンサーは、毎日ひたすら 古き良き時代の録音を聴いて 踊っています。その タンゴの真髄を捉え 踊りやすく かつ 魅力的な演奏をする音楽家は、残念ながら とても少ないのです。

1930〜40年代を中心に、当時 ブエノスアイレスでは 各楽団が 競って録音をしたわけですが、どの楽団も それぞれの特徴を生かし、ちょっと聞いただけでも どの楽団か当てることは さほど難しくありません。
しかし、毎日 古き良き時代のタンゴを聴いていて、ふと思ったことがあります。
当時、ブエノスアイレスに 録音スタジオは幾つあったのだろうか?
どう考えても 1楽団に1つずつ 録音スタジオがある訳は無く、もしかしたら 名演奏家達は 同じピアノを使って録音していたのではないかしら?
これは、調べたわけではないので、憶測です。でも、どの録音のピアノを聴いても 誰の演奏か聞き分けられるほど 音色も タッチも違います。それがもし 同じピアノから出ている音だったとしたら…
ピアニストは、自分の楽器を持ち運ぶことは出来ないんだから 当たり前、と言ってしまえば それまでですが、当時のブエノスアイレスのピアノがどういう状態だったかを考えると、今ほど 調律の技術も無く、メンテナンスも かなり適当だったのでは?
実際、タンゴの味 と言われるものが、そのピアノの ユルい調律だったりするわけです。
そんな 味ピアノを 自分の味にしてしまう 当時の巨匠達には、現在の私達の技術を持ってしても とてもかなわない気がします。







[猫]KOKO♪


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